いま、地球上に生きているアホウドリは、わずか四千羽ほどしかいません。しかし、そのほとんどのアホウドリが卵を産み、ひなを育てる伊豆諸島の鳥島は、火山の噴火の可能性がある危険な島。もしも、アホウドリが子育てしている時期に大きな噴火があったら、たくさんのアホウドリが命を落とし、アホウドリは絶滅してしまうかもしれません。そこで、噴火の心配のない小笠原諸島の聟島にアホウドリのひなの一部を引っこしさせ、人間の手で育てて巣立ちをさせるという、前代未聞の計画がおこなわれました。この本は、一時は絶滅してしまいそうになったアホウドリと、NHKスペシャルでも紹介された、聟島で親鳥の代わりとなって人がひなを育てるプロジェクトに参加した著者が、自ら撮影した写真をふんだんに使って語る記録です。
鳥類専門の研究所。元侯爵の山階芳麿が、1932 年に東京都渋谷区南平台町の自邸に設けた「山階家鳥類標本館」を母体として1942 年に設立された。1984 年、千葉県我孫子市の手賀沼近くに移転。おもな研究は、鳥類研究の基礎となる各種の形態学的標本の収集保存、鳥類学と周辺諸分野の図書資料の収集保存、足環やその他のマーキングによって個体識別した鳥類の渡りや寿命の調査、生息数のモニタリングをおこなう鳥類標識調査、アホウドリやヤンバルクイナ等の絶滅危惧種の保全研究など。研究施設であり、一般に公開はされていないが、月1 回の所内見学会や、ジャパン・バード・フェスティバルでの「見にレクチャー」などのイベントがおこなわれている。同研究所に隣接する「我孫子市鳥の博物館」は、同研究所が我孫子に移転したのをきっかけに1990 年に建てられたもの。