木の葉にかくれる虫や木の幹にかくれる虫、草の葉にかくれる虫など、ページをめくってびっくり! 新しいタイプの昆虫の本。
1947年、東京生まれ。東京農工大学卒業。著書に『昆虫の擬態』、『大昆虫記 熱帯雨林編』『蛾蝶記』『デジタルカメラで撮る海野和男昆虫写真』『ぼくバナナムシ』、共著に「虫の飼いかた・観察のしかた(全6巻)」『生きものROM図鑑 昆虫のくらし』「虫から環境を考える(全6巻)」などがある。テレビ・ラジオの番組や講演会などでも活躍中。日本自然科学写真協会副会長、日本写真家協会会員、日本アンリ・ファーブル会理事
★刊行時に寄せられたメッセージです
毒のあるチョウにそっくりな、毒のないチョウがいる……このことをはじめて本で読んだときには、ほんとうにびっくりした。まだ小学生のころのことで、そのころからぼくは、チョウが大好きだった。
当時、「昆虫少年」といえば、チョウが好きな少年のことだった。今はやりのカブトやクワガタの本なども、ほとんどなかった。子ども向きの昆虫の本自体が少なく、昆虫少年たちは、おとなのチョウ図鑑を読んでいたのだ。
ぼくは、「毒のあるチョウにそっくりな、毒のないチョウがいる」という不思議を、ぜひ子どもたちに知ってほしいと思い、講演会などで、毒のあるチョウとそれに似た毒のないチョウの生態写真を見せ、説明したりもしていたが、子どもたちにはあまりピンとこないようだった。
それで少し前から、生態写真ではなく、それらの標本写真を白バックにならべ、「ニセモノさがし」のような形で見せることにした。そうしたとたん、子どもたちはキラキラ目を輝かせはじめたのだ。さらに「さがす」という遊びから、「なぜまねするの?」という学びにも興味を持ったようだった。
こうして、昆虫のまねする擬態をテーマに、虫をさがして遊んで学ぶ本、『さがそう! まねする虫』のアイデアが生まれた。
ところで、ぼくのような昔の昆虫少年は、それがはじめて見るチョウで、種類まではわからなくとも、なんとなく「アゲハのなかま」だとか「シロチョウのなかま」だということぐらいはわかる。これは、たくさんの虫を見るうち、なかまごとの区別点がしぜんに身についていたからだ。
そこで、昆虫の分類をテーマに、虫をさがして遊ぶ『さがそう! ちがう虫』もいっしょにつくることにした。
さて、ここまできたら、ぼくがいちばん興味を持っている「虫のかくれんぼ」の本をつくらないわけにはいかない。そこで考えたのが、昆虫のかくれる擬態をテーマに、虫をさがして遊ぶ『さがそう! かくれる虫』だ。
このシリーズでは、編集者やデザイナーが一生懸命にとりくんでくれて、ぼくのファンの本上まなみさんには推薦のことばもいただいた。子どもたちが本をひろげ、ワイワイ虫をさがして楽しんでくれたら、とてもうれしい。(海野和男)