





おばあちゃんの部屋には、女の子の絵がかざってある。「この子はだれ?」って聞いてみたら、「この子は、あたしよ」って教えてくれた。
びっくりするわたしに、おばあちゃんが話してくれたのは、海辺のアトリエに暮らす絵描きさんと過ごした夏の日のこと、おばあちゃんにとって、いつまでも色あせない、特別な思い出だった。
少女がのびのびと心を解放することができた宝物のような日々を、まるで映画のシーンのように見応えのある絵で描いた魅力的な絵本。
子どものころ、近所に住んでいた女性の画家の先生に絵を習っていました。
天井の高い、静かなアトリエに一人で暮らしていたその人は、わたしにとってはじめての、子どもを〝子どもあつかいしない〟おとなでした。
ちょうど、この絵本に出てくる〝絵描きさん〟みたいな人だったのです。
わたしは、おとなになって画家になりました。
でも、もし、そうならなかったとしても、やはり、わたしには影響の大きい人だったと思うのです。
堀川理万子