主人公のランカは、花や緑あふれるふるさとの国から日本にやってきた10歳の女の子。日本語はまったくわかりませんが、日本の小学校に入ることになりました。下駄箱で靴を履き替えたり、体操服に着替えたり、給食があったり……と、ランカが行っていた学校とはちがう毎日にランカは一生懸命ついていこうとするのですが、ある日、ふるさとを思い出して木登りをしたとき、クラスメイトの男の子に足をつかまれて、「なんでひっぱるの」の思いで胸がいっぱいになり、泣き出してしまいます。するともう一人泣きだした子がいました。足をつかんだ男の子です。二人はまだ言葉は十分に分かりあえませんが、このとき、なにかがランカに伝わりました。
主人公ランカのふるさとがどこの国かは明示していません。この絵本は受け入れる側にいる日本のこどもたちに届けたい一冊ですが、日本語を学び始めの子にも読めるよう、文章はすべてひらがなにしています。
受賞歴:
外国から日本にきた人のきもちが良くつたわってきて言葉がわかるまではたいへんなことが良くわかりました。1人でも多くの外国の人が日本にきて日本を知ってほしいと思いました。(80代)
私は小学校教諭です。これまでにこの作品のように外国から転入してきた児童を担任したことがあります。ランカのように母国との違いに戸惑ったり、言葉が通じなくて悩んだりしている様子も見てきました。そして、それを救ったのは、子どもたちでした。優しくサポートしたり、言葉が伝わらなくても声をかけたりして、大人には出来ないことをあっさりやってしまう。この作品と同じでした。共感するところがとても多かったです。ありがとうございました。(30代・男性)