大きな川から用水路をつくって水をひき、米作りをしてきたダルマガエルのとうきちや、イシガメのがんじい。
まわりでくらすイタチのおりょうや、カニのもくずは、自分の田んぼにまでは水がこないので、おもしろくありません。そこで、むりやり水の道を変えてしまいます。さらには新しい村もできたりして、このままでは水のとりあいで村同士がけんかになってしまいます。
そのとき! てんびんで水を運びながら、とうきちはあることを思いつきました。
「こうすりゃ、まるくおさまるんじゃなかろうか」
そのアイデアをもとに、みんなで力を合わせてつくりあげたのは……。
農業用水を平等にわける施設である「円筒分水」をモチーフに、水をめぐって生きものたちがくりひろげる騒動をえがく、創作むかし話です。
円筒分水とは…サイフォンの原理を利用し、下側につくった水路から、上につくった円筒型のしかけに水をふきあがらせることで、平等に水をわける施設。全国で200カ所以上あるともいわれている。
受賞歴:
熊本県の山都町にも「分水嶺」があり、孫が興味を持ち始めたところに、この本の紹介を新聞で見て「これだ!!」と思いました。分水のしくみがおもしろおかしくわかりやすく学べて、絵もすてきです。(8歳・おじいさまより)
鳥獣戯画のような表紙に惹かれて手に取りました。絵の雰囲気もとても素敵だし、言葉のリズムも読みやすいし、何より、キャラの立った登場人物と田んぼの水をめぐるやりとりのリアルさと、とうきちのユーモアのある対応の仕方が優しくて、とてもステキな絵本だと思いました。円筒分水のことも初めて知り、グーグルマップで調べてみたりしました。昔の人の知恵に学ばされますね!昔、山形に住んでいたので、言葉の訛り方が東北弁のような気がしました!!とにかく素敵な内容なのでまわりに宣伝します!我が家の子どもたちも、楽しんでいました!(7歳・ご家族より)