木の葉が赤や黄にそまり、実がたわわにみのる美しい季節。天までとどく木々が森をつくり、そのあいだを川がゆったりと流れている。
あの日、子どもだったわたしは、じいさんと小舟にのっていた。
夕暮れに岸辺でたき火をかこみ、じいさんから森の動物の話を聞く。満天の星の下でねむり、早朝に起きて、また川に舟を出す。
朝靄をすかして見える動物たちのシルエット。やがて山の端から陽が差して、気がつくとわたしは黄金色の中にうかんでいた。
極東シベリアの原生林を流れるビキン川を舞台に、大自然の中でむかえる夜明けをドラマチックに描いた美しい絵本。
1948年生まれ。元・旭川市旭山動物園飼育係。主な作品に『エゾオオカミ物語』『どうぶつえんガイド』『どうぶつ友情辞典』『ゴリラはごりら』「どうぶつさいばん」シリーズなど。1995年『あらしのよるに』で講談社出版文化賞を受賞。