木の葉が赤や黄にそまり、実がたわわにみのる美しい季節。天までとどく木々が森をつくり、そのあいだを川がゆったりと流れている。
あの日、子どもだったわたしは、じいさんと小舟にのっていた。
夕暮れに岸辺でたき火をかこみ、じいさんから森の動物の話を聞く。満天の星の下でねむり、早朝に起きて、また川に舟を出す。
朝靄をすかして見える動物たちのシルエット。やがて山の端から陽が差して、気がつくとわたしは黄金色の中にうかんでいた。
極東シベリアの原生林を流れるビキン川を舞台に、大自然の中でむかえる夜明けをドラマチックに描いた美しい絵本。
あべ弘士さんの『よあけ』、日本にも壮大で悠久な“地球の時の流れ”を感じることのできる絵本ができたのですね。この本に出会えて感謝です!!(60代)