クリスティーナは、いろいろなものを集めています。空きかんや、動かなくなった時計、よれよれのネクタイ……。でも、なによりすきなのは、はこでした。はこが大きければ大きいほど、クリスティーナはわくわくします。ある日、クリスティーナの家に、新しい冷蔵庫が届きました。空になったはこをもらったクリスティーナは大喜び。さて、クリスティーナは、このはこで、なにをするのでしょう?
はこがおしろやひみつきち、レーシングカーに変身していくこの楽しいお話は、子どもの想像力をかきたてる傑作と評され、アメリカの多くの教科書に掲載されています。また、歴史ある子ども向け教育雑誌「ウィークリー・リーダー」の推薦図書に15年間連続してえらばれました。アメリカで40年以上まえに刊行されてから、長い間愛され続けている作品です。
ミシガン州生まれ。作家、編集者。3人の子どもを育てながら、絵本や読みものを執筆。子どもが独立したあと、出版社に就職し、児童書部門の編集部長をつとめる。エリック・カールをはじめとする、さまざまな作家を担当。これまで編集した本のなかで、『月夜のみみずく』など3作品がコルデコット賞を受賞。1985年には出版社を立ちあげる。ニューヨーク在住。
作家、イラストレーター。オレゴン州のポートランド生まれ。ニューヨークの出版社へ、イラストレーションの作品を持ちこみ、作家として活動をはじめる。はじめての作品である”Andrew Henry’s Meadow”(未邦訳)で、1965年にワシントン州知事芸術賞を受賞。ほか『クリスティーナとおおきなはこ』など。
<訳者のことば>
空箱を集めるのが大好きなクリスティーナ。ある日、とても大きなダンボール箱を手に入れます。その箱で、りっぱなお城を作るのですが、幼なじみの男の子、ファッツにこわされてしまいます。それでも、クリスティーナはめげません。つぎは秘密基地、そのあとはレーシングカーへと、箱がぼろぼろになるまで、色々なものに作りかえていきます。クリスティーナの想像力は、なんとたくましいのでしょう!
箱をかたづけてしまいたいお母さんと、何かしでかしては箱を台無しにするファッツ。それぞれとのやりとりには繰り返しのおもしろさがあり、この絵本の大きな魅力になっています。
絵本を読む子どもたちは、箱の変身ぶりにきっと目を見張るはず。そして、自分も「何か作りたい!」と、さらに想像の翼を広げることでしょう。
クリスティーナと箱は、子どもの「遊び」の原点なのだと思います。そこにあるのは、捨てられるはずのダンボール箱と、子どもが生来持っているはずの想像力とひらめき。それだけで(ゲーム機などなくても!)、こんなに豊かで楽しい世界が生まれるのです。
この素晴らしい絵本を、米国での初版から40年以上の時を経てご紹介することができ、とてもうれしく思います。『クリスティーナとおおきなはこ』を、子どもたちと一緒に読んで、どうか心ゆくまで遊んでください!
おびかゆうこ