



いつも、きげんがわるいのでテツコ・プーってよばれている女の子。朝はとくべつにきげんがわるくて弟にやつあたりして、おかあさんに怒られ、ますますプーっとしていたら、おやおやなんとからだがふくらんで、風船みたいに空に飛んでいってしまいました。テツコプーは、お家に帰れるのでしょうか?
神奈川県葉山町に生まれる。米国Rhodes College卒業。絵本『空とぶおばあさん』でAmerican Institute of Graphic Arts絵本部門賞受賞。そのほかの絵本に『どろぼう夫婦』『うたうしじみ』『クリスマスソングブック』『アンドレのぼうし』『聖マグダレナ・ソフィア・バラ』、翻訳に『伝説の編集者ノードストロムの手紙』、さし絵に『少女ポリアンナ』『とび丸竜の案内人』『大おばさんの不思議なレシピ』『ドードー鳥の小間使い』『バク夢姫のご学友』等がある。
『テツコ・プー』のストーリーは,てっちゃんという女の子からインスピレーションをもらい生まれました。
てっちゃんは私の親友の長女で,3・4歳のころ,いつも不機嫌な顔をして,機嫌の良い2歳下の弟に悪さをしていました。怒られると,てっちゃんはもっとプーッとしました。でも、てっちゃんのプーッとした気持ちの下に,正直でユニークで心根の良いてっちゃんが隠れているのがわかりました。
私は自分と弟のことを思いだしました。私も子供のころ不機嫌でした。4歳下の弟は朝から機嫌が良い子で,それがまた私を不機嫌にするのでした。いちど機嫌が悪くなると気持ちを切りかえられない私は,もう怒っていないのに,しかたなくプーッとしていました。母は「笑いなさい」と言うのですが,口がかたまってしまって,笑うなんてむずかしくてできませんでした。
てっちゃんは,子供のころのそんな気持ちを思いださせてくれました。
『テツコ・プー』を作り始めてから,何度もストーリーを作り直しました。
てっちゃんは,今は二人のやんちゃな男の子のお母さんなのですから,絵本ができるまで本当に長い時間がかかったものです。朝からプーッとしている世界中のテツコ・プーに絵本を楽しんでもらえたらとてもうれしいです。
『うたうしじみ』『クリスマスソングブック』『アルファベット絵本』『聖マグダレナソフィアバラ』など、寡作ながら、宝物にしたいような美しい絵本をつくり続けている絵本作家、児島なおみさんは、内外の絵本に造詣が深く、自身、絵本コレクターです。1960年台のアメリカで活躍した児童書編集者の手紙をまとめた『伝説の編集者ノードストロムの伝記』まで翻訳されるほどの絵本好き。その児島なおみさんが、ちょっと気むずかしい女の子のお話を描きあげました。いつもきげんがわるいので『テツコ・プー』ってよばれている女の子てっちゃんの冒険のお話です。