手ぶくろの片方をなくしてしまった女の子。
近所の人にきいたり、交番でたずねたり、と手当たり次第にさがしますが、見つかりません。
「ママがわたしのためにあんでくれた、たいせつな手ぶくろなのに…」
そう思いなやみながら道を歩いていると、目の前を1匹のネコが横切ります。
見るとその口には、前を行くベビーカーの赤ちゃんが落とした靴が。
「あっ! こらまてー!」
女の子はネコを追いかけますが、ある路地のつきあたりの家に逃げ込んでしまいます。ぜんぜん知らない家でしたが、女の子は勇気をだして中に入っていきます。
その家のあるじは、どんな人なのでしょう。そしてたいせつな手ぶくろは、いったいどこへいってしまったのでしょう。
2016年、「うさぎのラビッタちゃん」が主人公の『ゆきがふるまえに』で初めて絵本を刊行した、かじりみな子さんの新作です。前作同様、ご自身の子育てのなかから浮かびあがってきたテーマをもとに、かつて働いていたリハビリ施設でのご経験も織りまぜて物語にしてくださいました。これから高齢化が進む地域社会にあって、このお話のように異なる世代と交流を持つことは、とても大切なことになってゆくことでしょう。この絵本がそうした交流をつくるきっかけとなれば、うれしゅうございます。
大切なてぶくろを探す女の子のお母さんへの思い、おじいさんの「やさしいだろ?」の言葉のあたたかさ、猫の「ふうちゃん」の愛嬌のある仕草。気持ちあったかくなる絵本です!(読者の方より)