「将棋ばかりして怠けていたな!」いいかげんな治療をえんま様に怒られた「てんか一のはいしゃ」のお話。痛くて笑っちゃう絵本です。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
【くすのきしげのりさんからのコメント】
えんま様の前に座らされた、ほらふき歯医者。
生きているときには、仕事を怠けて将棋三昧、そのくせ「天下一の歯医者」とほらをふいては、たまに来る患者にさんざん痛い思いをさせていました。当然、えんま様は、お見通しです。
作品では、この場面から、何とか地獄へ送られないようにと考えた歯医者は、「『いたい』というものはゆうきのないうそつきです。」といって、鬼たちの虫歯をさらにはえんま様の虫歯も治療します。でも絵本として出来上がってくるにしたがって、歯医者のとぼけた表情から「ひょっとしたら、この歯医者は、本当に自分のことを天下一の腕前と思っていて、自分の治療で痛いことなどあるはずがないと本気で思っているのかなあ」などと考えるようになってきました。
とすると、治療を試したり、「えんまのはいしゃ」として猶予を与えてくれたえんま様のはからいは、いよいよ慈悲深いなあと思うのです。
虫歯の怖さにじっと耳を傾けて、子どもは真剣そのもの。その日の歯みがきはいつもより丁寧に。歯みがきの大切さに改めて気づいたようです。(5歳・お母さまより)