「将棋ばかりして怠けていたな!」いいかげんな治療をえんま様に怒られた「てんか一のはいしゃ」のお話。痛くて笑っちゃう絵本です。
1961年徳島県生まれ。小学校教諭、鳴門市立図書館副館長などを経て、現在は児童文学を中心とする創作活動と講演活動を続けている。絵本『おこだでませんように』が2009年に全国青少年読書感想文コンクール課題図書に、2011年にIBBY障害児図書資料センターが発行する推薦本リストに選出される。同作品で第2回JBBY賞バリアフリー部門受賞。その他の絵本に『ふくびき』『あたたかい木』、「もぐらのサンディ」シリーズなどがある。鳴門市在住。
★刊行時に寄せられたメッセージです
【くすのきしげのりさんからのコメント】
えんま様の前に座らされた、ほらふき歯医者。
生きているときには、仕事を怠けて将棋三昧、そのくせ「天下一の歯医者」とほらをふいては、たまに来る患者にさんざん痛い思いをさせていました。当然、えんま様は、お見通しです。
作品では、この場面から、何とか地獄へ送られないようにと考えた歯医者は、「『いたい』というものはゆうきのないうそつきです。」といって、鬼たちの虫歯をさらにはえんま様の虫歯も治療します。でも絵本として出来上がってくるにしたがって、歯医者のとぼけた表情から「ひょっとしたら、この歯医者は、本当に自分のことを天下一の腕前と思っていて、自分の治療で痛いことなどあるはずがないと本気で思っているのかなあ」などと考えるようになってきました。
とすると、治療を試したり、「えんまのはいしゃ」として猶予を与えてくれたえんま様のはからいは、いよいよ慈悲深いなあと思うのです。
虫歯の怖さにじっと耳を傾けて、子どもは真剣そのもの。その日の歯みがきはいつもより丁寧に。歯みがきの大切さに改めて気づいたようです。(5歳・お母さまより)