

ろうやにいれられた3人のどろぼうが自由な暮らしを取りもどすために立ちあがった! 3人組が繰り広げるドタバタの大脱走劇。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
『どろぼう だっそう だいさくせん!』には、三人のどろぼうと、ろうやの見はり番が出てきます。
四人ともとぼけたおじさんで、ユーモラスで憎めない人たちです。
おじさんを描くのはとても好きなので、楽しんで仕事をすることができました。
僕は街を歩いていたり、電車に乗っていたりしていて個性的なおじさんを見かけると、顔の特徴、髪型、ヒゲのはやし方、服装などをつい観察してしまいます。そして全体の雰囲気を覚えておいて後でノートに描いておき、ときどき絵本に登場させたりしています。たまには女の人も描きますが、ほとんどの場合、気になるのはおじさんで、いろんなタイプのおじさんのイメージがノートにストックされています。
どうして、僕はおじさんばかりに目がいくのでしょうか? それは、僕が小さいころ見ていたテレビの影響だと思います。1960年代末から1970年代、子どもだった僕は、テレビの演芸番組とバラエティー番組が大好きでいつも見ていました。番組には漫才、漫談、コント、落語、歌謡ショー、マジックなどのいろんなコメディアンや芸人さんたちが出ていて面白いギャグを飛ばしていました。
トニー谷の「さいざんす」、由利徹の「おしゃまんべ!」、財津一郎の「非常にキビシ~ッ!」、植木等の「お呼びでない」、谷啓の「ガチョーン!」、三波伸介の「びっくりしたなぁ もう」、ケーシー高峰の「グラッチェ」、笑福亭仁鶴の「どんなんかなぁー」、加藤茶の「ちょっとだけよ」、坂上二郎の「飛びます、飛びます」など……。
芸人さんたちはその当時まだ若かったのかもしれないけれど、子どもの僕にはみんな「おじさん」にみえました。そして、僕の中でいつしか「おもしろい」をイメージすると「おじさん」が出てくるようになり、おもしろいおじさんは僕にとって気になる存在となったのです。
それから月日がたち、おじさん好きの少年だった僕もおじさんになりました。
『どろぼう だっそう だいさくせん!』のおじさんたち、いい味出してます。ぜひ、ごらんになって下さい!(西村敏雄)