ロボットのランスロットとパブロくんたちは、小さな火山をつかって、はちみつケーキを作ることにしました。おいしくできるかな?
1949年東京生まれ。桑沢デザイン研究所修了。詩情とユーモアのある独自の世界をメディアの枠をこえて発表している。絵本『すなのおしろ』『ありとすいか』『うちゅうスケート』『まじょのケーキ』、絵物語『モービー・ディック航海記』『水晶山脈』『象の思い出』、漫画『結晶星』、画集『メタフィジカル・ナイツ』(小学館絵画賞)、映像『銀河の魚』(毎日映画コンクール大藤信郎賞)、『クジラの跳躍』(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞)等の作品がある。
★刊行時に寄せられたメッセージです
ランスロットという名前は、アーサー王伝説に登場する最強の騎士の名前からもらいました。ロボットの姿が、西洋の甲冑を思わせる、いかめしくも滑稽な姿をしているからです。
この絵本のランスロットは、騎士のように強くないし、カッコ良くないし、ロボットのくせに忘れんぼうで、遊びに夢中になって友達の約束をすっぽかし、1日中待たせてしまったりします。でもロボットのランスロットは、アーサー王伝説に出てくるランスロットよりもずっと幸せな気がします。だって、ランスロットの周りにはとても素敵なともだちがいるからです。
シリーズ第1作の『ランスロットとパブロくん』では、のんびりして人の良いクマのパブロくん、2作目の『ランスロットのきのこがり』では、ネコのくせに実力以上のトラだといいはるモンジャと、一人ずつ新しいともだちが出てきました。そしてこの3作目では、ペットのようなロボットのジゴジゴピーをはじめ、村の住人たちがたくさん登場します。最初考えたアイデアでは、ランスロットが通販で買った電子レンジの組み立てキットを組み立てると、なぜかヘンテコなロボットのジゴジゴピーができてしまうというものでした。これはこれでめちゃくちゃで面白いのですが、お話が長くなりすぎてしまいました。 そこでケーキ屋さんへのおつかいから始まる後半のストーリーをふくらませて、このようなにぎやかでおいしそうなお話になりました。最後のケーキ爆発は大スペクタクルです。
パピエ村はおもちゃの住む村なのですが、それは子どもたちにとって桃源郷であり、そこには理想のともだちが住んでいます。子どもたちがおとなになっても「そんな村がたしかどこかにあった」などと思い出してもらえると、きっとランスロットは喜ぶと思いますよ。(たむらしげる)