ブリッタ・カイサという女の子が見知らぬおじいさんから種をもらいました。少女とお人形ミラベルとの出会いを描くふしぎなお話。
1966年スウェーデンに生まれる。初めての絵本『エルセ・マリーと小さなパパたち』(未訳)が7カ国で翻訳出版されるヒット作となり、以後多くの創作絵本やさし絵をてがける。ドイツ児童文学賞を受賞するなど、各国で評価が高い。日本では『名犬ボーディル』『ふしぎなお人形ミラベル』が紹介されている。
1946年、神奈川県に生まれる。東京大学文学部仏文学科卒業。1970年にスウェーデンに渡り、現在、ヨーテボリ大学文学部アジア・アフリカ語学部日本語学科教授。おもな訳書に『ふしぎなお人形 ミラベル』等。
★刊行時に寄せられたメッセージです
アストリッド=リンドグレーンの作品は世界中の言葉に翻訳されていて、今日でもスウェーデンを代表する最もよく知られた文化人、作家です。
私が35年前にスウェーデンに住むようになったときスウェーデン語の勉強のためこどもの本を読んだものです。そのころリンドグレーンの長靴下のピッピも読みました。それから数年後娘が生まれてからは、ねる前によくリンドグレーンのお話を読んで聞かせました。リンドグレーンが自分の作品をふきこんでいるテープも何度も聞きました。彼女の特徴のある声と南のスモーランド方言はいまでもなつかしく耳からはなれません。ピッピやロッタ、エミールやカールソンは映画や劇にもなり、特にピッピの劇はロングランで今も上演されていますが忘れられないシーンがいろいろあります。
スウェーデンのこどもたちはリンドグレーンの物語とともに成長してきましたが、私と娘にとってもリンドグレーンのお話のなかのこどもたちは生活の一部だったといえます。最近のテレビのこども番組は日本からの輸入マンガが独占していますが、それでもリンドグレーンの作品はいまでもスウェーデン文化を代表するものとして生き続けていると思います。(武井典子)