





小人のニコさんとロボットのダダくんは、森の中でとってきたハチの巣から、大きな大きなキャンドルを作りました。ふたりはそれを馬車にのせると、どこかにむけて出発します。
馬のひづめのパカポコという音にあわせて、ダダくんが歌をうたいながら、馬車はのんびり進みます。
体よりも大きなイチゴをつんでいる小人たちがいます。
シナモンをつんだ空飛ぶバイクが追いぬいていきました。
丘の上でお昼を食べていると、湖の上をカシスの実や卵をつんだ舟がどこかにむかうのも見えます。
汽車の窓からは、たくさんのパティシエたちが、ふたりに手をふっています。
ふたりはまた馬車にのってのんびりと進みます。
やがて、見えてきました。
みんなが運んだ材料で、小人のパティシエたちが、大きな大きなケーキを作っているのでした。
やがてケーキができあがると、そのてっぺんに、ニコさんのキャンドルがかざられました。
キャンドルに火がともされると、空の上から声が聞こえてきます。お月さまです。
「さあ、きょうは、こどもたちのおいわいの日だ。ありがとう、うまれてきてくれたこどもたち、たくさんのともだちができてうれしいよ!」
こどもたちが願いをこめて、お月さまがキャンドルをふきけしたあと、みんなでケーキを食べました。
そのおいしかったこと!
こどもたちへのお祝いの日のプレゼントにぴったりの絵本です。
1949年東京生まれ。桑沢デザイン研究所修了。詩情とユーモアのある独自の世界をメディアの枠をこえて発表している。絵本『すなのおしろ』『ありとすいか』『うちゅうスケート』『まじょのケーキ』、絵物語『モービー・ディック航海記』『水晶山脈』『象の思い出』、漫画『結晶星』、画集『メタフィジカル・ナイツ』(小学館絵画賞)、映像『銀河の魚』(毎日映画コンクール大藤信郎賞)、『クジラの跳躍』(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞)等の作品がある。