





男の子が池のほとりを歩いています。もうすぐおじいさんの家につくところです。もうすっかり日がくれて、空には月が輝いています。リリリ、リリリ。虫が鳴いています。遠くからは列車の汽笛。池に浮かぶハスの葉にはカエルがいます。シカの親子も水を飲みにきているようです。ほんの数十秒のあいだにおこる小さなドラマの数々。そこにひろがるゆたかな世界。ページをめくることが一つの体験だということが感じられる絵本です。
1949年東京生まれ。桑沢デザイン研究所修了。詩情とユーモアのある独自の世界をメディアの枠をこえて発表している。絵本『すなのおしろ』『ありとすいか』『うちゅうスケート』『まじょのケーキ』、絵物語『モービー・ディック航海記』『水晶山脈』『象の思い出』、漫画『結晶星』、画集『メタフィジカル・ナイツ』(小学館絵画賞)、映像『銀河の魚』(毎日映画コンクール大藤信郎賞)、『クジラの跳躍』(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞)等の作品がある。
「こんな絵本をずっと創りたかったのです。」たむらしげる
情景がうかんできて、やさしい、ほっこりした気分になりました。とっても素敵な絵本です。(6歳・ご家族より)
遠景から始まって、クローズアップになるといろいろな生き物がよく見えてきます。そして読み返すと、実は最初からいたのだと気づく、発見のある本でした。子どもも見つけて楽しみ、音を楽しんでいるようです。(3歳・ご家族より)
ブルーで夜の様子が表現され、とても美しい。文字もほとんどないのが、静かな夜の気配を感じさせて素晴らしかった。幼稚園で読み聞かせたが、子どもたちはじっくりと見ていた。とてもステキな作品と思う。(60歳)
本屋で手に取り、立ち読みした時、この音、この風景、子どもたちに伝えたい!と思いました。作られた音が多く、朝から晩までいつでも情報がすぐ手に入り便利な現代ですが、静かな中でしか聞こえてこない音、風景、そして体験をひとりでも多くの子どもに絵本を通じ、日々の生活を見直し、知り、大切にしてほしいと思います。(読者の方より)