星空のずーっとむこうの黄色にかがやく星に、ひとりのおじいさんがすんでいました。おじいさんが持っていた種をまくと、プリンやドーナツ、キャンディーなど、おいしい実のなる草木がいっぱい! すると、うわさを聞いた星じゅうの動物たちがたずねてきます。クマやシカやセイウチなど、いろいろな動物たちが、おじいさんからわけてもらった種を植えてみると、つぎつぎと草木がのびてきて……でも、中にはなかなか芽のでない種がありました。「まだかな。まだかな。」おじいさんが楽しみにまっていると――。
とある星にすんでいる、ひとりのおじいさんとたくさんの動物たちの物語。イラストレーター、絵本作家として幅広く活躍した伊藤正道さんが遺したかくれた名作を、形を変えて復刊しました。
受賞歴:
『エルマーのぼうけん』のなかで、トラにおそわれそうになったとき、チューインガムを渡して、かみ続けて緑色に変わったガムを土に埋めたら、チューインガムの木になってもっとたくさんガムが採れるぞ、と言う場面があります。トラはそのガムに夢中になってしまい、そのあいだにエルマーは逃げてしまう、という筋です。
子どものころに読んで以来、私はすっかりこの妄想の虜になりました。おかしや料理がなる木ががあれば、いちいち買ったり作らなくても食べ続けられるのに!
『まだかな まだかな』は、そんな子どもなら一度はいだくであろう、夢のような種が出てくるおはなしです。収穫したいろいろな実を食べながら、動物たちといっしょに本を読めるなんて、まさに楽園のよう。おいしいものをつまみながら、ぜひお楽しみください。
お話の内容も、絵も色もかわいくて、大人が読んでも楽しめる本でした。なかなか咲かない花が、本の花、というところがとても素敵でした。(5歳・ご家族より)