

「とらねこさん、おはいんなさい。くろねこさん、おはいんなさい。」楽しくなわとびをしていたら、そこにシャムちゃんがやってきて。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
とらくんはおこりんぼです。相手がたとえ大好きなくろくんだろうと、かわいいシャムちゃんだろうと、間尺に合わないと思ったらかんかんに怒ります。そして心ならずも、「かってにあそべば」なんて言ってしまうのです。
とらくんはいじっぱりです。くろくんとシャムちゃんがとらくんをさそっても、絶対に仲間に入りません。本当は大なわだって、おすもうだってしたいのです。大なわがふたりでできるわけない、と馬鹿にしたり、おれは新記録に挑戦してるんだなどと、いばってみせますが、とらくんの顔つきを見ればうらやましくて焦っているのがありありです。
とらくんはやきもち焼きです。くろくんとシャムちゃんが仲良くしているのが気に入りません。自分から仲間をはずれたくせに勝手なことです。
とらくんは頑固で泣き虫です。なわが引っかかるまではやめないと豪語したからには、雷雨の中でもひとり跳びつづけます。しかしそのうち泣きだします。雷雨が怖いこともありますが、なわとびをやめられない自分を持てあまして、どうしていいか、わからないのです。
とらくんは現金です。くろくんとシャムちゃんが傘をもって迎えにくると、たちまち機嫌が直ってしまいます。傘になわがひっかかってほっとしたとたんに、100万回跳んだなどと大風呂敷を広げます。そしてロッキーばりの後姿を見せて帰っていきながら「また縄跳びやろうな、三人で」なんて、いい気なセリフを吐くのです。
こんなとらくん、たいして男前でもなく言葉も乱暴なのに、どこか品があるのが不思議です。これは小田桐さんの絵に負うところ大です。とらくんがありのままで自分をごまかさず、おこるのも意地をはるのも泣くのも喜ぶのも、何ごとにも真剣なところ(私はこれが生きものの品だと思っています)が描けているのです。
くろくんはどうでしょうか。純粋で優しくて、一見とらくんに牛耳られているようです。が、くろくんのそんな気立てが巧まずしてとらくんの成長に手を貸しているのです。そしてとらくんも、突拍子もない行動に巻きこんで、くろくんの視野を広げています。くろくんあってのとらくん、とらくんあってのくろくん。ふたりはこれからも、けんかしたり仲なおりしたりしながら、持ちつ持たれつやっていくことでしょう。(山脇 恭)