

道でひろった、でっかいベーコン。ねこのとらくんは、交番に届けますが、おいしそうなベーコンが気になってしようがありません。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
とらくんは、とてもすてきな子ねこです。
どこがすてきって、とても欲ばりなところがです。子どもって、なんでもひとりじめにしたいですよね。おもちゃだって、もちろん、おかあさんだって。とらくんもそんな子ねこです。そのために、ちょっといじわるになったりもします。でも、思い通りにいかないのが人生なのですね。そのためにがまんをしたり、自分をなっとくさせたり。そうやって子どもが大人になっていくのです。たぶん。
くろを大好きなとらくんも、自分の欲望と、ともだちを思う気持ちにはさまれてなやみます。そうやって、とらくんもまた、ひとつ大人に近づく。そんな山脇先生のおはなしです。ただの、かわいいだけの子ねこものがたりではありません。
前作の『おへんじください。』も、くろのこころのなかを思いやるとらくんが、やっぱりすてきです。
さて、このすてきなとらくんをどんなふうに描けばすてきになるのかなあ。子どもが、いたずらの「たくらみ」を思いついたときの、ちょっとおとなびた顔を想像してみました。ですから、この絵本では、とらくんのおとなびた表情に、子どものむじゃきな笑顔がはさまっています。ページごとに表情がちがいます。とらくんのこころの中を想像しながらみていただけたら、とてもうれしい。
にんげんの子どもより子どもらしいとらくんに、会いにきてください。(小田桐 昭)