

「待ってて」とうさぎ君に言われたぶた君。約束を忘れたうさぎ君を待っているうちに空は夕焼け。待ち続ける友だちを描いた絵本。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
どうぶつで好きなのはブタ。
たべもので好きなのもブタ。
わたしのすがたもブタ。
わたしの家族もブタ。
向かいのいえの住人もブタ。
ああ、ブタ、ブタ、ブタにかこまれて、ブーブー、ブーブーいいながら、できたのがこの絵本。
かわいいんだ、このブタの子。なんともいい子。だきしめたくなる。
賢くて、要領のいい子もいいけど、不器用でも、相手の気持ちのわかる子、そんな子にひかれる。
この絵本のブタの子は、まさにそんな不器用な子。こどもらしい子だ。
わたしは、このブタの子がすきだ。
こんな子、どこかにいました。
クラスメートに、かならずいました。
社会に出てからも、どこかにいました。
その不器用な子は、ひょっとするとわたしかもしれないけど。
そんなふうに、愛すべきブタの子なのに、えがくのに苦労した。
かいて、消して、かき直し、破く。
そのたびに、ブタの子がくず入れにきえていく。
せっかく、絵の中で、うごきはじめようとしたばかりなのに。
これは、画家の感傷。
ブタみたいに好きな森山京さんと、ブタみたいにやさしい、編集の安彦道代さんと、一緒に作ることができたのは、ブタ以上に美味しくて、すばらしいことだった。(渡辺洋二)