こどもの桃のこどももちゃん、今日はなんだかごきげんななめ。遊び仲間の動物たちが「どうしたのかな?」とあとを追いかけます。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
いつも持ち歩いているノートにらくがきしていたとき、こどももちゃんは突然生まれました。この絵本の表紙とおなじ、機嫌の悪い顔をして、どこかへ向かうこどももちゃんでした。心の中で、私が「どこいくの?」と聞いても、こどももちゃんはプンとそっぽを向いたまま、教えてくれそうにありませんでした。その日から私はずっと気になって、どうして機嫌が悪いのか、考え続けました。そうするうちにこの絵本はだんだんできあがっていきました。ついにこどももちゃんがなぜ機嫌が悪いのか、わかったのです。(でも、それは絵本を読んでのお楽しみ)
小さい頃、私は母が宇宙人かなにかなのではないかとうたがっていた時期がありました。母はテレパシーが使えるのだと思ったのです。どうしてそう思ったのかといえば、私が何も言わなくても、母は私の気持ちをわかってくれたからです。私にはそれがとても不思議で、「きっとテレパシーを使ってるんだ!」と考えたのでした。
試しにやってみた実験の結果、母にはテレパシーが使えないというのはすぐにわかりましたが、母がいつも私の気持ちを大切にして、やさしくくみとってくれたので、私は安心する世界にいられました。どうやって表現したらいいのかわからない緊張や不安が、母が気づいてくれることで、とけた時のあの安堵感は格別です。この絵本を描いたことで、私もこどももちゃんにそうしてあげられたような気がしました。そして、この本を読んでくれる子どもたちとも、この安心感を共有できたらいいな、と思っています。(たちばなはるか)