

遠足の日、まちがったバスにのったぼくは不思議な町にきてしまった。ページをめくるたびにびっくりぎょうてんのナンセンス絵本。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
2005年6月25日に亡くなられた長新太さんが、ぼくと絵本とを、出会わせてくれました。長さんが1963年に出版された『いそっぷのおはなし』と『ベタベタブンブンおおさわぎ』です。これら2冊の絵本の絵を見て、ぼくも絵本を描きたい、と強く思ったのでした。
「長新太のように、自由自在に画風も変えたい!」と叫んだら、「画風なんて、自然に変わるんですよう~」と、長さんに言われてしまいましたが、長さんのような天才でないぼくは、「自然」に任せられず、『ふるやのもり』『しばてん』『ふきまんぶく』『やぎのしずか』『ほら いしころが おっこちたよ ね、わすれようよ』『くさむら』『とべバッタ』と次々と新しい画風に挑戦してきました。
1976年、長さんが『ごろごろにゃーん』を出された時、そのあまりのすばらしさに、ぼくは自分の才能に絶望しました。でも、何時かは、長新太も裸足で逃げだすナンセンスを創ってやる! と張り切りました。
それなのに、世紀が変わっても、なかなか果たせません。一方、長さんは、軽々と、ナンセンスの傑作を1ダースも、2ダースも出し続けて、逝ってしまわれました。
ぼくは11年もかけて、やっとこの1冊を出しました。モタモタ考え過ぎのナンセンスと言われそう。でも、長さんに見てもらいたかった。長さんはきっと、「時間ばっかりかけるのは、ドーナンデスカネ~」と、おっしゃるでしょうが。(田島征三)