

生きているみたいなおさかなを、みんなで料理してみんなで食べます。子どもたちの楽しい一日を切りとった、躍動感あふれる絵本。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
「さかなだ! さかなだ! 活きのいい魚! 食べなきゃ損だよ! さかなだ−!!」あっ! 間違った。「読まなきゃ!」だ。活きのいい、魚が食べたくなる絵本ができました。フフフほんとほんと。
私は瀬戸内海の美しい海のそばで育ちました。瀬戸内は魚の種類が本当に多く、しかも新鮮! おいしい! 魚は大好き。なかでも瀬戸内の鯛は抜群においしい、頭からしっぽまで何一つ残さずきれいに食べる。これ楽しいのよ。骨にはミノとかカマとか農耕に使う名前が付いてるよ。これはすごいこと、海と森との深いつながりの中で、互いに助け合って、自然の豊かな恵みを育んでいる証拠なのね。魚の骨からでも大事なことが伝わってくる。そんな魚やしっかり作られたお米。ちゃんと食べたいじゃありませんか。
それもこんなに楽しんでたべるから魚だってうれしいのよ。私は魚が大好きだから、鯛を主人公にして『せとうちたいこさん』の絵本を出している。でも今度はもっと好きだから魚を食べちゃうのです。魚を1匹まるごと食べる絵本なのよ。だからこの事[せとうちたいこさん]にはナイショ。
この絵本は「りんごの木」というユニークな保育園での実践がモデルです。毎月いろいろ子ども達が料理して食べるの。大きいシャケ一匹を丸ごと焼いて食べるとか、びっくりするような巨大マグロの頭を、子ども達がスプーンで身をほぐしてお刺身でむしゃぶりつく、それは豪快。子ども達は体中で魚と向き合い、抱きつき、なでて、さわって、魚とグチャグチャになるほど一体になって食べるので、魚が文句なしに好き! ほんとほんと。魚の目玉を食べて「うまい!」という子。シャケが美しいピンクだったのに驚き「きれい!」とうっとりする子。骨も捨てちゃいやだと飾って、骨も好きになっちゃう子。魚も子ども達も実にいきいきしている。ちゃんとした物をちゃんと食べるって実に気持ちいい。うれしくって喜びがこみ上げてくるのよね。
魚の歌も作ったよ! エンヤトットのいい歌よ! ピチピチはねたいよ。活きのいい絵本、「さかなだ さかなだ」さかなだーい! 食べて! 読んで! さかなだよ!
(長野ヒデ子)