おでかけした帰り道、おんぶもだっこもしてもらえないねずみくん。そこで思いついた、ねずみくんのアイデアをしかけで描きます。
東京に生まれる。多摩美術大学卒業。造形教育の指導、テレビ幼児番組のブレーンなどを経て、現在、絵本・童話の創作、作詞、戯曲・コミックの原作、小説の執筆、講師をつとめるなど、幅広く活躍。『あらしのよるに』で、産経児童出版文化賞・講談社出版文化賞絵本賞受賞、斎田喬戯曲賞受賞。『オオカミのおうさま』で、日本絵本賞受賞。おもな作品に、「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ、「木村裕一・しかけ絵本」シリーズ、「おはなしゲーム絵本」シリーズ、「2才からのあそびえほん」シリーズなどがある。
★刊行時に寄せられたメッセージです
「よく似ている」といわれます。
私が描く「ねずみ」と「わたし」が…です。
なぜか、私は昔から特に私の描くこのねずみに似ているといわれるのです。
私は、人間なので、ねずみに似ているといわれても、なんとも言えない気分になるのですが自分が描くキャラクターと自分が似ているといわれることは、喜ぶべきことなのかなあ? うーーん。
絵を描くとき、登場人物の気分になりきってしまわないと、表現できないことがあります。今回のような、シンプルな絵本では、登場人物(動物だけど)の表情や動きが重要なので、ねずみの気持ちにならないと、怒った顔やがっかりした顔にリアリティがでません。だから、やっぱり、私は、ねずみに似てしまうのかもしれません。
しかけ絵本は、特にお父さんと子どものコミニュケーションに最適だと思っています。絵本の読み聞かせが不得意なお父さんでもこうしたしかけ絵本があれば子どもはよろこんでいっしょに遊んでくれます。このシリーズのきむらさん考案のしかけのおもしろさは、単に絵が変わるだけでなく、ページが顔や手、あるいはねずみくんそのものになり、本の中で、歯をみがいたり、とびはねたり、さかだちしたりして躍動するところにあります。ページをめくって出現した絵の変化に、子どもはきっとおおよろこびしてくれるはずです。
ねずみに似ている?私がねずみくんの気持ちになってねずみくんの絵を描いて、その絵本を読んだお父さんやお母さんや子どもたちが、ねずみくんと同じ表情になって「おもちゃ」で遊ぶようにこの本と遊んでくれたら、イラストレーターとしては、本望なのです。
というわけで、肖像画はねずみになりました。ちょっと太ったねずみです。(せべまさゆき)