

あかちゃんのための詩とほんわりとした絵、聞いて気持ちのいい、見ていてうれしくなる絵本。「かばのかばん」「ぼうし」など15編。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
「中川さん、詩書いてみませんか」と編集者に電話で言われたのが、たしか去年の6月。歌の詞は、それまでも書いてはいたが、いわゆる「詩」となると、話は別。詩の本といえば、それは世間的には「詩集」だし、書いた人間は「詩人」と言われることになる。これには、少し身構えた。しかし、高校生の頃から「ユリイカ」や「現代詩手帖」などを愛読していたぼくとしたら、これは「詩人」になる絶好のチャンスなわけで、そう思っただけで、ついついニンマリしちゃってる。その電話の主は、ちゃんとぼくがニンマリするところを突いてくる。前からそう。しかも、少しジャンプしなきゃ届かないあたり、というか、ジャンプすれば届くあたりをねらってボールを投げてくるのだ。しかもジャンプしたがる魅力的なボールをね。「ぼくに、書けるんだろうか」と瞬間思いながらも、ぼくは、引き受けた。少し遅れて、他社からも、「詩集」の依頼があって、その夏ぼくは、詩ばっかり書いていた。
この「赤ちゃんの詩1・2」は、電話の主の圧倒的なアイデアによる。初めから、ちゃんと意図した「完成図」が彼女の中にあった。これは、すごい。途中、何度か止まりかけたり、ウロウロっとするところが何回かあったが、結果は、このとおり。きれいで楽しい詩集になった。
ぼくはかつて、保育園で働いたことがあって、もっぱら1~2歳の子どもたちを見ていた。お昼寝前に絵本読みは、かかしたことないし、それを聞く子どもたちの姿も忘れられない。ぼくの頭の中に未だ住み続ける「あの子たち」に向けて、この詩を書いた。「あの子たち」も、この詩集をよろこんでくれるといいんだがな。(中川ひろたか)