小夜に山のうさぎから人形しばいの招待状がきました。夕方、一人ででかけた小夜が、うさぎたちとすごした秋の夜のファンタジー。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
これは安房直子さんの書かれた小夜と山のうさぎたちのちょっと愉快で愛らしい物語の絵本です。
小夜はうさぎ座の人形しばいに招待されます。
風が吹き落ち葉が舞って、雪の降る前日の寒い夜。みかん色にぼうっと明るい谷間がうさぎ座の会場です。
たくさんの山のうさぎたちはとっておきの着物や洋服でおめかしして、人形しばいの幕開けをわくわくしながら待っています。
舞台の幕はなかなか開かないのですが、客席で待っている小夜とうさぎたちとの楽しい舞台は回りはじめて……。
何といっても、年に一度の待ちに待ったお芝居見物なのですから。
うさぎのカーテン屋さんや、煙草を吸っているお爺さんうさぎの顔も見えます。
おや、あのお婆さんうさぎは、美味しそうにお茶を飲んでいますね。
ほら、あの赤ちゃんうさぎは、火鉢の上のおまんじゅうをじっと見つめていますよ。
くしゃみをしているお母さんうさぎも、欠伸をしているお父さんうさぎもいますね。
あら、あら、ほっかむりのおじさんうさぎは、小夜におまんじゅうを、どうぞどうぞと言っていますよ。
この夜の、うさぎ座の人形しばいは、明日から雪に閉じ込められてしまう山のうさぎたちにとって、また小夜にとっても最高のプレゼントになるでしょう。
あなたも選ばれて、うさぎ座に招待されるといいですね。
ほんとうは山で育ち自然と交歓できる子供しか見に行けないうさぎ座なのですが、実は自然が大好きな子供と子供の心を無くしていない大人の読者も招待されて、一番前の席に座ることができるんです。
そうそう、うさぎ座に出かける時にはきれいな毛糸の手袋をお忘れなく。
帰りにはきれいな手袋人形を貰えるはずですから。
私も物語の中で小夜の隣に座ってお芝居を見たり、うさぎたちとお喋りしながら、わくわくして絵を描きました。(味戸ケイコ)