絵本専門店の情報紙で連載中の人気エッセイが本になりました! 保育園の先生が子どもとの毎日を154冊の絵本と一緒に紹介します。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
保育園は0歳から6歳までの子どもたちが生活するところで、いつも活気があってにぎやかです。毎日様々なドラマが展開されていて、私はあきることなく30年近くも保育園で働いています。
保育室には、つみき、ブロック、ままごとの道具、絵本が置いてあって、何年も変わらず子どもたちに愛されています。今の子どもたちはゲームばかりしているように言われていますが、そんなことはありません。自分たちで工夫したり、考えたりして、身近な生活を遊びに取り入れるのが大好きです。私は子どもたちが遊んでいる姿を、「へぇー」「ふーん」「そうかあ」とおもしろがって見ています。
その中でも絵本は、子どもたちの生活に自然ととけこんでいて、保育園の子どもたちは、それぞれの気分にあった一冊を選んでは、私のところへ「読んで!」と毎日のように持ってきます。私も気に入った絵本と出会うと、子どもたちがどんな反応をするのだろうとワクワクした気持ちになります。子どもたちは字を覚えようとか知識を増やそうと思っているわけではなく、“今”を楽しむために絵本を見ます。
そんな風に、子どもたちが絵本をおもしろがる様子を園生活の中から切りとり、1か月に1冊というペースで、情報紙「ひろばメルヘン」(子どもの本の専門店メルヘンハウスが発行する情報紙)に連載していたら、あっという間に10年! それを今回一冊にまとめ、こんなにすてきな本にしてもらうことができました。
私のまわりのたくさんの人たちも、この本を手にしてくれました。自分の子育てを思い出したり、保育士としての姿に「うん、うん」って共感してくれたり、高校生は自分が子どもだった頃のことを思い出したりするようです。そこで一番多い感想は、「読みやすい!」ということ。うーん、あんまりほめられている気はしないけれど、たくさんの人に読んでもらいたいと素直に思っています。
絵本には子どもたちの好奇心をくすぐる魔法の力があると思います。子どもと絵本が出会うすてきな時間を、この本を通して一緒に楽しんでもらえたらうれしく思います。(安井素子)