





新しい家にひっこして、るすばんをしていたのんちゃんは、クローゼットの中にトイピアノをみつけました。今はもういないおとうさんが、5歳の誕生日に買ってくれたものです。のんちゃんは、鳴らない鍵盤が1つあることを思いだしましたが、ひさしぶりに、おとうさんにならった「カノン」という曲をひいてみました。すると、となりの森から、ピアノの音が聞こえてきます。のんちゃんのひく「カノン」とおなじメロディです。
音楽がもたらす喜びを描いた、あたたかなファンタジー。
受賞歴:
友人がいせひでこさんのお話に感動し、その場で求めて私のところへ届きました。美しい色合いの中にその場の空気が流れてくる様な絵の一枚一枚を愛おしむ思いで見ました。お話も心に沁みます。私も幼児から父の思いでピアノを習いました。「女は大人になって悲しいことが多くあるから音楽が慰めになる」と言って。大昔の話ですね。カノンが出てきたのもとても良かった。(90歳)