小学6年生、越の一家は、妹つぐみの化学物質過敏症が治らないため、埼玉県から富士山の見える山梨県に引っ越す。都会から南アルプスのふもとへと大きく環境が変わった越は、複雑な思いで地元の中学校に通う。母親は、地元の食材を使った自然食の食堂をオープンさせるが、この地域の有力者からいやがらせにあい、お店もなかなか軌道に乗らない。埼玉時代の親友、直登から夏期講習にさそわれた越は、同じ中学に通う結衣と塾のセミナーに参加するも、つぐみがマムシにかまれたという緊急の連絡が入り、急きょ家にもどる。著者の実体験をもとに書かれたある一家の再生の物語。
秋田県に生まれる。立命館大学文学部卒業。通訳業のかたわら児童文学を書きはじめ、「ニイハオ! ミンミン」で第15回小川未明文学賞優秀賞、『パンプキン・ロード』で第20回小川未明文学賞大賞受賞。