

昆虫愛好家である著者が、虫と自然と友人とを、ユーモアに満ちた眼でみつめたエッセイの第二弾。仏文学者・奥本大三郎氏推薦。
受賞歴:
★刊行時に寄せられたメッセージです
この『虫屋のみる夢』という本は、虫の観察記録でも研究書でもありません。べつに新しい知見もありません。作者のケンさんが、昆虫仲間との交遊をとおして、日々接する虫たちとのつきあいを、ケンさん流の文章でつづったものです。したがって、この本は理科の本ではなくて、いわば「昆虫文学」のようなものです。
ケンさんは冗談とユーモアが大好きなので、ついつい書くものも、その傾向をもつのは仕方がありません。そういう愉快な読み物が好きであれば、そして昆虫が好きな人なら、いっそう読む価値がある本です。つまり、もともと本を読むことを楽しむ人で昆虫がきらいな人も、本好きでおまけに虫が好きな人も、両方イケるわけです。さらに、虫好きで読書嫌いの人でもだいじょうぶです。ウソだと思ったら読んでごらんなさい。
虫のことが書いてあるといっても、今回の『虫屋のみる夢』に登場するのは、蝶と蛾ばかりです。ケンさんには蝶も蛾もおなじに見えるため、いつも虐待をうけて嫌われている蛾たちにも、活躍の場をあたえてやったわけです。ほかの虫たちのことも書きたかったのですが、枚数がたりませんでした。また、いつか書きたいと考えています。(田川研)