

カボチャで作った小人のマノーの家に、ある日、お腹をすかせた小さなこぶたの「レーズン」がやってきました。あんまりちっぽけなので、もとの家を追い出されてしまったのです。その日から、おとなの小人マノーと、小さなレーズンの二人暮らしがはじまりました。突然やってきた小さな同居人は、やんちゃでわがまま、いつもいい子にはしていません。でも、子どもらしさにあふれた無邪気なレーズンを、マノーはいつもおおらかな愛情で包みこみます。
––––「こんな小さいこぶたのめんどうをみるのは、たいへんだろう。だれにでもできることじゃないよ。」
と同情するカラスに、マノーはこんなふうに答えています。
––––「ひとりですむのだって、らくじゃないさ。それに、だれかといたら、それだけで、たのしく時間がすぎるもの」
レーズンとマノー、二人のおかしな毎日を描く、ハンガリーの愛らしいおはなし!
受賞歴:
東欧の国ハンガリーから届いた、かわいらしい幼年童話です。
表紙に見える、ものほしげな上目づかいのコブタの名前は「レーズン」。ちっぽけで緑色、まるでほしブドウのようだから、「レーズン」です。
このレーズンが、ある日こびとのマノーの家を食べてしまう(マノーの家はカボチャなのです)ところから、お話は始まります。心優しいマノーは、みすぼらしいコブタを家に招き入れ、いっしょに暮らすことにしました。さあ、それからの毎日ときたら、もう大変。マノーは四六時中、やんちゃでわがままなレーズンに振り回され、大忙しです。でも、ふと一息ついたとき、マノーはこう言うのです。「一人で住むのだって、楽じゃないさ。それに、だれかといたら、それだけで、楽しく時間が過ぎるもの」。
この心温まる物語を、どうぞ多くの方が味わってくださいますように。 皆さんと、レーズンの愛らしさ(まさに幼い子どもそのもの!)を共有し、語り合えたら、とても嬉しく思います。そうそう、それから表紙の絵は画家のブローディ・ベラさんが日本語版のために描き下ろしてくださったものです。こちらもぜひご注目くださいませ。
とってもかわいい緑のこぶた・レーズンのとりこです。「うぃうぃうぃ」と鳴く姿も、「マノーちゃん!」と構って欲しがるところも、ちょっぴりわがままで自分勝手な所も大好きです。挿絵がまた内容にぴったり。涙をぽろぽろ流す姿は、思わずレーズンをぎゅっと抱きしめたくなりました。(20代)