



19世紀末のブダペスト。大切な遊び場を守るべく敵対する赤シャツ団と戦う、誇り高きパール街の少年たちの物語。60年代に刊行された名作の復刊。
受賞歴:
土下座ってしたことがありますか。私はあります。小学校1年の時でした。公園で同級生が複数の上級生にいじめられていたのです。幼いころから「卑怯者にはなるな」と父親にたたき込まれていた私は、その状況に接し、いきなり上級生に飛びかかっていきました。当時はプロレス全盛。私は「ヘッドロック最強」を盲信していたので、敵の頭を腕でしめつけました。が、腕力に勝る上級生ですから、あっというまに外されて、しこたま反撃をくらいました。そして一通り逆襲を終えた上級生に「おまえ土下座しろ」といわれたのです。私は、なすすべもなく土下座して謝りました(なんと残酷な上級生だ)。
少年には、友情や正義、卑怯をにくむ、ということに対する無邪気な盲信と、それを汚されることを極端におそれる、という時代があります。作者のモルナールは、そうした少年たちの気持ちをユーモアをまじえつつも、見事に描きだしています。本作は百年まえの中央ヨーロッパで書かれた物語ですが、いまの子どもたちと、それをとりまく社会に対し、十分にうったえる力のある物語です。
ラストの一文を読んだとき、ぼんやりとしつつも悟ったような表情で席につき、先生の声をきいているボカの顔がくっきりと浮かんできました。一連のできごとを通して成長した彼をみつけることができました。ネメチェクがいなくなったあとの少年たちのことを想像してみたいです。(読者の方より)
久しぶりに行った書店で偶然見つけたこの本!ビックリ!!何十年かぶりに一気に中学時代を思い出しました。中1の時に感想文の提出を求められ図書室で何気なく手にした1冊です。そして後日、運良く賞まで頂いたことが、一気に思い出されたのです。思い出がよみがえりました。ありがとう。(61歳)