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『ハイファンタジー』と聞くと、つい欧米発の作品を多く思いだすが、この『守り人シリーズ』は、アジアの香りを漂わせた一風変わったファンタジーである。
アジアのどこかを思わせながら、完全なる異世界を作り出し、そこに歴史や国家、更には神話的な力や魔法とは別の、新たな世界観設定であるナユグとサグという、平行しながら存在する二つの異世界を生み出し、他作品との差異を際立たせている。
ナユグとサグとは、お互いに存在を知りながら、直接交わることはなく、かといってまったく関係のない世界でもない。うまく折り合いをつけながら干渉しすぎず、互いに影響を及ぼす世界のことである。アボリジニの思想をヒントに作られた世界観と聞くが、それとも違う日本的“折り合い”の世界だと僕は思っている。
更にこの作品を魅力的にしているのが、この世界に住まう住人達。主人公の一人“短槍使いのバルサ”は、この世界では最下層に位置する平民の、しかも用心棒であるが、とある事情から世界を旅したボヘミアンでもある。そしてもう一人の主人公“チャグム”は、新ヨゴ皇国の第二皇子であり、近い将来ヨゴの君主“帝”へと成長していく存在である。その二人が出会い、旅することで、平民の暮らしと政治の双方が、絶妙なバランスで描きだされていく。
だが、そういった設定以上に僕の興味を引いたポイントは、泥臭く、力強く生きる彼らの、お互いを思いやる愛情が見事に描き出されているところであった。
ハイファンタジーとは、ある種設定を楽しむジャンルだと思っていた。しかし、この作品は、見知らぬ世界の人間ではなく、僕らと同じ血の通った人間の尊厳を描いた作品なのだ。
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| アニメ「精霊の守り人」監督 神山健治 |
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