取材日記

本をとどけにエチオピアへ!②

2017/05/30

できあがった本を手渡しに、昨年エチオピアへ行った東海林美紀さん。ひさびさに会ったエチオピアのナティたちのくらしはどんなだったのでしょう?(ブログ「本をとどけにエチオピアへ!①」はこちら

 

今回は4日間だけの短い滞在だったのですが、毎日家族といっしょにごはんを食べ、子どもたちと遊びながらゆっくりと過ごしました。この滞在中も、子どもたちはたくさんのことを教えてくれました。ごはんを作るお母さんのお手伝いをしているのはナティとリリー。ナティはインジェラをじょうずに焼き、リリーはシチューを作ることが得意です。わたしが滞在していた1週間後はお正月。少し早かったのですが、ナティとお母さんと買い物に行って、お正月のお祝いの食事「ドロワット」を作りました。

ナティの家はいつも、よい香りがしています。お母さんがコーヒーセレモニーを行なうときには、「エタン」というお香を炭の中に入れるのですが、スパイシーな香りが部屋中に広がります。

その他にも、たくさんの薬草が日々の生活の中で使われています。頭が痛いとお父さんが言ったとき、リリーは家の近くで「ダマカセ」という葉っぱをとってきて、お父さんはコーヒーにその葉っぱを入れて飲んでいました。

せきが出るときには、沸とうしたお湯にユーカリの葉を入れて、その蒸気を深く吸いこむのだそうです。部屋に蚊がいるときには、「トゥンジュットゥ」や「ウェイラ」の葉を炭の中に入れてけむりを出します。

ある日、「最近はどんな仕事をしているの?」とナティがきくので、「世界のサウナの撮影をしているんだよ」と話すと、それをきいていたお母さんが「わたしもサウナに行きたい!」と言い出して、ふたりで街の中心「ピアッサ」にあるサウナに行くことになりました。

エチオピアには数多くの温泉がありますが、サウナは「サウナバス」と呼ばれ、健康や美容のために人気が高まっています。ゴンダールではファシリデス王の時代にサウナは治療用として使われていました。はじめてサウナとお風呂に入るお母さんは大興奮。ドライサウナは故障中で、「モロッコバス」と人びとが呼ぶミストサウナに入ってから、ジェットバスのついたジャグジーにいっしょに入りました。

最後に会ったときに、「今度はいっしょに旅行に行こう」とナティと約束していました。ナティがエチオピアで一番行きたかった場所はバハルダール。ゴンダールから車で3時間ほど行ったタナ湖のほとりにある美しい街です。小さい妹と弟はお母さんとお留守番になり、お父さんとナティとリリーとわたしの4人で行くことになりました。

つづく・・・

おまけの写真。
滞在中に髪を切りにいったナティ。さっぱりして、さらにかっこよくなりました。
家に帰ると、お兄ちゃんを見た弟のエリアスが「ぼくも髪を切りたいぃぃぃ!」と泣いたそうです。

(写真・文 東海林美紀)

世界のともだち㉘『エチオピア ナティはたよれるお兄ちゃん』の詳細はこちらからどうぞ!

東海林美紀

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1984年山形県鶴岡市生まれ。2007年から2年間、青年海外協力隊に参加。アフリカ・ニジェールの現地NGO事務所と診療所でHIV/エイズ対策にとりくみ、サヘル地帯にくらす人びととの生活のなかで撮影をはじめる。帰国後はアフリカ、アジアの女性の健康と権利をテーマに撮影をおこなう。撮影を担当した本に『世界女の子白書』などがある。現在は、世界と日本各地にのこる伝統的なくらしと自然を撮影・取材している。

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