取材日記

サマルカンドと
サブラト

2016/06/24

きょうの取材日記は、最終巻『ウズベキスタン』より百々新さんの登場です!(他の巻と同様に)難航する主人公さがし、やっとの思いで見つけたのが、サブラトくんでした!

上海は古い町並みをぶっ壊し、サイケな高層ビルを雨後の筍のように乱立させていた。私は大学生のころ上海に通って写真を撮っていた。訪れるたびに街のシルエットが変わっていたほど、上海は変貌を遂げた。その中でうごめく人間のありようが、どこかこっけいで愛おしく思えた。6年間で9回通ってわが町のように上海を歩けるようになって、「上海の流儀」という写真集にまとめた。

そのころ私はある意味、義務的にこの街を見続けて写真を撮っていた。「今、何がしたい?」と、聞かれるとすでに外国にいるのに、「世界を旅がしたい。」と、答えるまでになっていた。そんな上海で想いを馳せるのはシルクロードだった。

あれから20年。世界のともだちシリーズでシルクロードのど真ん中、ウズベキスタンはサマルカンドを訪れ取材することになった。

カスピ海の周りに暮らす人の存在を撮影した写真集、『対岸』の撮影をしていたときに、ウズベキスタンの首都タシケントには訪れていた。しかし、サマルカンドは今回が初めて。しかも本に出演してくれる10才前後の男の子を探すという大きなミッションがあった。丸腰で突然サマルカンドに向かうわけにもいかないので、手はじめに、東京にあるウズベキスタン料理レストランをたずね、撮影できそうな子がいないかたずねた。しかし何とも話が進まず。

そこでインターネットで調べると、なんと「日本ウズベキスタン協会」というのがあるではないか!これはいけると、連絡を取り、サマルカンドの友だちを紹介してもらう、というところまではいったが、現地の方と連絡がつかない。私はウズベキスタン語は話せないし、ロシア語も無理。こうなると「頼れるのは日本人だ」と思い、ウズベキスタンに留学していた学生さんを探し当てることに成功した。筑波大学に通う勤勉な彼女に、サマルカンド外国語大学で教鞭をとる岩崎先生を紹介してもらった。人類皆兄弟とはいうものの……と思っていたが、そこは同胞日本人! ちゃんと返事をもらえた。サマルカンドへの一筋の鉱脈が開け、いざ、アシアナ航空でインチョン経由タシケント、トランジットをはさんでサマルカンドまで24時間の旅へ出た。

サマルカンドへむかったのは、大統領選挙が終わったゴールデンウィークのころだった。空港を出ると、そこにはきらびやかな民族衣装をまとった女性たちが歩いており、目を奪われる。しかし今回取材してほしい! と編集部からいわれたのは男の子。しかもウズベキスタンの10才は中学生…!

こころよく取材させてくれそうな家族を岩崎先生が紹介してくれ、世界遺産レギスタン広場で待ち合わせた。そこにあらわれたのは白いカッターシャツに黒いスラックス、黒い革靴に片手に携帯電話を持ったサブラト君11才。

かわいらしい子どもをイメージしていたが、なんとも精悍な男子。正直一瞬とまどったが、これも何かの縁や。これから彼を通してこの国を見ることにした。

(写真・文 百々新)

世界のともだち㊱『ウズベキスタン シルクロードの少年 サブラト』
くわしくはこちらをどうぞ!

 

dodo_arata

百々新

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どど あらた 1974年、大阪府生まれ。奈良県広陵町育ち。1995年写真展「上海新世紀計画」開催。同展でコニカ新しい写真家登場グランプリ受賞。1997年、大阪芸術大学写真学科卒業。写真集『上海の流儀』(Mole出版)で、2000年日本写真協会新人賞受賞。2004年、NY ADC 審査員特別賞、2009年APA広告賞特選賞。2012年、写真集『対岸』(赤々舎)で、第38回木村伊兵衛写真賞受賞。

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