取材日記

ビリーのお父さん ティピのこと

2016/01/08

きょうの取材日記は、『オーストラリア』から! 謎めいた自由人、ビリーのお父さんのカートさんのこと、取材中に寝泊まりしていたティピのことを中山茂大さんがお届けします!

ビリーのお父さん

ビリーのお父さんのカートさんはミュージシャンです。世界的にも有名な「フライトファシリティーズ」というバンドのバックコーラスを担当していて、ワールドツアーにもたびたび出かけるという、けっこうな有名人なのでした。とはいっても、
「あれは仕事だからね。本当にやりたい音楽は仲間と地元のライブハウスで演奏するんだ」
と言っていました。

カートさんは、ほかにもいくつかの仕事を掛け持ちしています。そのひとつが旅行会社。これも地元の仲間と共同経営しているそうです。もうひとつは賃貸業。自宅のとなりのお宅が空き家で、週末などに貸別荘として貸し出すんだそうです。さらにもうひとつが、インドネシアのリゾートホテルへの投資。こちらも共同出資で、経営が軌道に乗れば、それなりの配当があるようです。
「来年、自宅の改修工事を計画しているんだ」
カートさんが見取り図を見せてくれました。二階建ての大豪邸です。
これ以上、豪華にしてどうするんだ……と唖然としてしまいました。
オーストラリアは好景気らしく、たとえば、レストランの給仕さんの時給は1500~2000円が当たり前。熟練工になると3000円以上が普通なんだそうです。日本が長引く不景気で沈滞しているうちに、すっかりオーストラリアに追い抜かれてしまったようです。


ティピのこと

ビリーのお宅では、「ティピ」に宿泊させてもらいました。ネイティブアメリカンの、円錐形に天幕を張ったテントです。直径は4mほどもあるので、内部は意外に広く、ベッドがふたつ余裕で収容できますから、小さなツインルームといったところ。
広い庭にふたつティピが建っていて、もうひとつのティピには、ワーキングホリデーを利用してフランスから来ているリアさんが寝泊まりしていました。



ティピは涼しくて快適でしたが、問題がふたつありました。ひとつめは蚊。特に雨が降った日には、地面と天幕の隙間からどんどん入り込んできて、蚊取り線香がないと寝られませんでした。
ふたつめは雨もり。滞在中、スコールが数回ありましたが、そのたびにポタリポタリと落ちてきてベッドがぬれます。ティピの天井には煙出しのための通気口があり、雨よけに、隙間を設けた上に布がかけてあります。風雨が強くなると、その隙間からポタリポタリと水がたれてくるのでした。
私のベッドはすみっこがぬれただけですみましたが、カメラマン阪口の方のベッドは、どう移動しても中心部に水滴がたれてきて、「ぬれてて気持ち悪い」とこぼすことしきり。ここに1年滞在するリアさんはすごいな……と思わざるをえませんでした。

(文・中山茂大 写真・阪口克)

世界のともだち㉙『オーストラリア 毎日わくわく! ビリーの海ぐらし』の詳細は
こちらをどうぞ!
いつも子どもたちと楽しそうにはしゃぐお父さんが、まぶしく見える1冊です。

阪口克 中山茂大

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ライターとカメラマンのユニット、人力社として活動中。海外、国内取材をはじめ、田舎ぐらし、DIYなど幅広く活動。世界のフツーのご家庭に居候するのがライフワーク。共著に『世界のどこかで居候』『アウトドアde世界のどこかの昼ゴハン』『笑って! 古民家再生』 など、中山茂大の著書に『旅人思考でイスラムと世界を知る本』『ハビビな人々』などがある。

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