取材日記

アメリカの小学校あれこれ

2014/02/07

きょうの取材日記は「アメリカ」を担当した鈴木智子さんです。前回、アメリカの撮影で苦労したことなどを書いていただきましたが(アメリカ取材日記1回目はこちら)、今回は小学校の撮影でおもしろかったこと、先生や保護者たちの様子などを語っていただきました!


主人公のコリンの小学校へ毎日通って撮影をしたのは、本当に楽しい体験だった。
わたしはコスタリカの小学校で教えたり、ペルーの大学で教えたこともあるので、世界の教育現場に興味がある。

小学校はイベントがたくさん
アーバインのほかの小学校に知り合いの子どもが通っていたが、そこでは「ふたごの日」というものがあった。これは友だちとペアを組み、同じ服を着て登校して楽しもう!という日だった。また、「パジャマの日」といって、パジャマで登校して一日中そのままですごす日もあった。

運動会や音楽会のような大きな行事ではないけれど、アメリカでは、服装を工夫したり、みんなで歩いて学校へ行ってみたり(車社会なので、歩いて学校へ行くのもイベントになる)、誰もがすぐに参加できるユーモアのあるイベントが多いようだ。コリンの小学校ももちろんイベントが多く、子どもたちは学校へいくのが楽しいだろうなあと思った。



いじめのこと
コリンの担任の先生や学校へ通ってくる教育実習生と、いじめについて話したことがあった。先生の話では、この地域の小学校では、日本でニュースになるほどの深刻ないじめはないという。「残念だけど、いじめがはじまるのは中学校からが多いの」ということだった。先生に反抗するのもそのころからという。

コリンの小学校では、子どもたち同士も、先生と子どもたちもコミュニケーションをたくさんとっているように感じた。子どもを送りむかえする保護者も多く、子どもといっしょに教室の前までいき、先生と毎日会話をしている様子には驚いた。先生と保護者の交流が濃い。

小学校の卒業式
日本の小学校では、本番の日をむかえる前に卒業式の練習がある。でもアメリカの卒業式では、練習は当日の午前中に一度だけ。それもクラスのみんなで会場へいって、先生が生徒に軽く説明をするぐらいで終了。これで本番をむかえる。卒業式の写真を撮るわたしに、校長先生が「卒業式は20分ぐらいで終わっちゃうからがんばって撮ってね!」といった。

卒業式の日。子どもたちはいつものTシャツ姿ではないけれど、正装というよりはカジュアルな服装でやってきた。担任の先生も、ビーチへいくようなワンピースにサンダル。カリフォルニアらしい!

式がはじまって会場に生徒が入ってくると、保護者はみんな歩きまわって写真を撮りはじめる。だれも着席している人はいない。本当に30分ぐらいで卒業式は終わった。子どもたちは友だちといっしょに記念撮影もせず、「暑いからはやく帰ろう!」といってみんなさっさと家に帰ってしまった。そして、あっという間に学校にはだれもいなくなった。からっとした、カリフォルニアの気候のような明るい卒業式だった。国が変われば、卒業式の様子も変わるんだなと実感した。



文・鈴木智子

鈴木智子さんによる、世界のともだち⑥『アメリカ 西海岸の太陽とコリン』はこちら

鈴木智子

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1969年東京生まれ。アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校地理学部卒業。大学卒業後は、中米コスタリカの小学校や南米ペルーの大学で語学教師を勤める。その後、ペルーのクスコを拠点に、先住民の文化や祭りを撮影し紹介する。著書に『アンデス、祭りめぐり』『アンデス奇祭紀行』『世界遺産の町クスコで暮らす』『アンデスの祭り』がある。アマゾンの森林保護活動や、自然や文化をテーマにしたテレビ番組のコーディネーターとしても、南米やアメリカで取材活動をする。

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