取材日記

フィンランドの夏

2014/01/07

雪深い冬から一転、フィンランドの夏は鮮やかな緑がひろがります。松岡一哲さんの取材日記、第2弾です。(第1弾はこちら

フィンランドの夏。自然の色がとても豊かだ。冬に会った時とくらべると、みんなまるで性格が変わったかのように、生き生きとしている。短い夏をそれぞれが謳歌している。

近くの無人島へ。カオリのお父さんが友人とシェアしているボートでわずか10分くらい。小さなボートを運転するのに免許がいらないことに驚いた。カオリの家族の夏の恒例行事。

深い緑が広がる森の中で、ブルーベリー狩り。自然との関わり方が、とても板についている。

家の近くにある公園も美しく広い。みんなが自由に使える。

アロットメント、という国が土地を貸し出し、それぞれが自由に植物を育てられる場所。日本でいう市民菜園のようなもの。老若男女をとわず人気があるそうだ。カオリの家族も、カオリのおじいちゃんの家族もそれぞれ借りている。

夏は、みんなの表情もリラックスしていておだやか。

 

遊園地は子供たちに大人気。ほとんどの乗り物が無料で楽しめる。

観覧車にのり、高い所から。街を一望。

スウェーデンやロシアなどの大国にはさまれながらも、我慢強くいきぬいてきたフィンランド。その国に生きる9歳の少女カオリと、短い間だが生活をともにし、彼女の瞳を通して感じたことは希望である。この国の特長は、質素ではあるが、全員に選択肢、学ぶチャンスをあたえよう、ということにある。それは、そのまま子どもたちの希望につながる。

ただ、自分が感じた希望は、彼女自身から放たれるもう少し根源的な力のようなものだ。カオリだけでなく、きっと世界中の子どもたちの瞳から感じられるものなのかもしれない。

あっという間に終わってまう夏だからこそのこの美しさもまた、夢のようだった。

文・松岡一哲

松岡一哲さんによる、世界のともだち④『フィンランド 雪と森の国のカオリ』はこちら

 

松岡一哲

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1978年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、スタジオフォボスにて勤務し、独立。写真家として活動するかたわら、2008年6月よりテルメギャラリーを立ち上げ、運営をはじめる。2011年10月、写真展「東京 μ粒子」をテルメギャラリーにて開催。写真集に『purple matter』(テルメブックス)など、おもな仕事に、雑誌「murmur magazine」「AERA」などがある。

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