取材日記

フィンランドのともだち、カオリ

2013/12/09

世界のともだち」4巻目の『フィンランド』、冬の取材のことを、カメラマンの松岡一哲さんにふりかえってもらいました。本には入れられなかったお気にいりの写真といっしょにおとどけします!

この本の主人公、フィンランドに住む9歳の少女、カオリとの出会いは4年ほど前にさかのぼる。彼女のおじいちゃんは日本人。そのおじいちゃんとの縁で彼女と知り合い、写真を撮りはじめた。撮りだしたころの写真を少し。

カオリはとても活発で、明るくかしこい子ども。ふだんは弟たちと子どもらしくはしゃいでいるが、時おり見せる大人びた表情にどきっとさせられる。
家族は5人。父の名前はケン、母の名前はピア。そしてふたりの弟、タロとジロがいる。

「世界のともだち」シリーズとしての本格的な撮影がはじまった。まずは真冬のフィンランド、ヘルシンキの彼女の家にて。室内はとてもあたたかい。カオリの後ろにクリスマスツリーが見える。サンタクロースに手紙をかいたり、クリスマスのパイをやいたり、クリスマス前はなにかといそがしそうだ。

末っ子のジロとカオリ。きょうだいは3人ともいつも元気で、うるさいほどだ。

ジロと、お父さんのケン。カオリの家にはサウナがあって、家族みんなで入る。
サウナのあとは、はだかのまま外へでて体を冷やす。

真冬のフィンランドの生活はとても厳しい。外に出る時はやることを前もってきめておいて、外出時間を最小限にしなければならぬほど寒い。
僕はフィンランドの冬を完全になめていて、かんたんなコートしか持ってきておらず、毎日撮影しながらふるえていた。それを見かねたカオリのおじいちゃんが、ぶ厚いスノーウェアを貸してくれた。
そんななかでも、子どもたちは平気で外で遊んでいた。

取材中、太陽はほとんど出ていなかった。カオリの家の近くの湖に行ってみると、一面の雪景色に、ピンクのような黄色のような、なんともいえない色の光がうすくひろがっていた。写真を撮りながら、どこか現実ではないような気がしていた。

文・松岡一哲

松岡一哲さんによる、世界のともだち④『フィンランド 雪と森の国のカオリ』はこちら

松岡一哲

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1978年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、スタジオフォボスにて勤務し、独立。写真家として活動するかたわら、2008年6月よりテルメギャラリーを立ち上げ、運営をはじめる。2011年10月、写真展「東京 μ粒子」をテルメギャラリーにて開催。写真集に『purple matter』(テルメブックス)など、おもな仕事に、雑誌「murmur magazine」「AERA」などがある。

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