実は、ボルネオ島の海辺の地域には私も一度行ったことがあった。この年の前年、南の島が舞台の絵本を作るため、いい取材先はないかと夫が探し出したのがボルネオ島だったのだ。このときは日数に余裕がなく、大手旅行会社のパックプランをささっと利用することにした。
ボルネオ島へは日本から直行便で約5時間、あっという間に玄関口の都市コタキナバルに到着した。空港におりたったとたん、熱帯の湿度にむわっと包まれる。私はたちまちいきいきとしはじめ、夫はみるみる弱りはじめる。青森県出身の夫は暑さに弱い。息がくるしいとか、手を洗いたいとか(なぜ?)フーフー言い出す。しかし寒さには強い。私はまったくだめ。同じ人類でも育った環境でこんなにも違うものなのか。
滞在先は、吸血ヒルとは無縁の快適なビーチ・リゾートホテルだった。快適リゾートに、どうしても一度は行ってみたいと切望しつつ、結局毎回私の冒険チャレンジ旅につきあわされてばかりいる可哀想な夫は、この夢のような宿に涙を流してよろこんだ。だがここを選んだのは快適さのためではない。すぐ裏手にジャングルの自然保護区があり、ジャングル・ウオーキングなどのネイチャープログラムが利用できるからだ。そればかりか、オランウータンにも会えるというのだ!
傷ついたり、密猟などで親を殺されたオランウータンを保護し、ふたたび森で暮らせるようにトレーニングする施設、セピロク・オランウータン・リハビリテーション・センターの分室がここにもあり、ホテルの宿泊者も見学できるようになっていたのだ。(つづく)