工藤ノリコ エッセイ GO!GO!旅日記 ジャングルへGO!

vol.4 ジャングルへの巻

 ボルネオ島……ジャングルか! YOさんは数年前にいちど行っており、当時とてもうらやましいと思った。が、ヒルに血を吸われたという。ヒルに血を吸われる! そんなの映画の中でしか見たことない……他にも大•中•小•極小のいろいろな虫がみっしり生息しているはずだ。私は虫が好きだが、吸われたり刺されたり寄生されたいとは思えない。ひるんでいると、YOさんは「まあ大丈夫です」とヘラヘラしている。この人はむしろこういう状況(ヒルに吸われる等)をよろこぶ人である。クララでなくハイジなのである。私は見た目はハイジだが虚弱さの点でまるっきりクララだから心配になる。ひ弱なクララは果たしてジャングルの密林に、入って行けるだろうか?

「YES」と心の中から声がする。「GO! GO!」と……

 ずいぶん前、西表島の森をトレッキングしたことがあった。亜熱帯の植物にかこまれた濃厚な湿気の中に身を置いたそのとき、思いがけなく、ふるえるほどの喜びを感じた。この強烈な幸福感はなんだろう? その日は小雨も降っていて、天然パーマの髪を風呂上がりのようにクルクルにちぢらせながら、私はうれしさにほとんど恍惚となって歩いた。そこここに、なにかの気配を感じる。生きものではない、目に見えぬ存在がいる……森深く歩くうち、意識が(あるいは無意識が)どんどん覚醒していくようだった。
 このときの感覚が、ボルネオのジャングルならどれだけ強く体験できるだろう。そう思うと、期待で胸がはちきれそうになる。だがしかし、西表島に行ったのは真冬で、その年は異常な寒さということだった。たしかに寒かった。虫など1匹もいなかったのだった……ふたたび不安になる私にYOさんは言う。
「虫に刺されても、けっこう大丈夫です。ムヒEXもありますし……」(つづく)

ムヒアルファEX(通称・ムヒEX、池田模範堂)
ムヒアルファEX
(通称・ムヒEX、池田模範堂)
ジャングルの猛者相手にはたして効くのか?
ジャングルの猛者相手にはたして効くのか?