ほんの数十秒の間におこる小さなドラマ『よるのおと』

よるのおと

よるのおと( たむらしげる 作)

––––「こんな絵本をずっと創りたかったのです」
作者のたむらしげるさんが60年近くあたためてきた思いがついに絵本に!

夜、男の子が池のほとりを歩き、おじいさんの家に向かいます。そのたった数十秒の間に池のまわりでおこる、小さなドラマを描いています。

池にうかぶ蓮の葉の上には小さなかえる クワックワッ
ちかくでは虫の鳴き声が聞こえます リリリリ リリリリ
とおくからは汽車の汽笛 ポーッ シュシュッ シュシュッ–––
蓮の葉のしたを大きな鯉がすーっと横切り、
ふくろうがかえるをめがけてさっと木から飛びたつ––––。

よるのおと見開き

この絵本の構想のはじまりには、松尾芭蕉の有名な句があるのだそうです。

古池や 蛙飛びこむ 水の音

たむらさんは9歳のころこの句と出会ったとき、
蛙が水に飛びこむ音が聞こえて、目の前にさまざまな情景がうかび、
それはそれは大きな衝撃を受けたそうです。

「そのときの鳥肌が立つような不思議な感覚をどう表現すればよいのだろう?」

9歳のたむらしげるさんが、そのときからずっと胸に大切にしてきた思いが、
60年たったいま、ようやく絵本として結実したのが、こちらの作品です。

ページをめくることを一つの体験として感じられる絵本です。
どうぞ絵本を開いて、いろいろな「よるのおと」に出会ってみてください。


著者紹介
作:たむらしげる
1949年、東京生まれ。絵本、映像、コミックなど、独特の詩情とユーモアのある世界をジャンルをこえて発表している。小学館絵画賞、毎日映画コンクール大藤信郎賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞などを受賞。おもな絵本に『ありとすいか』『よるのさんぽ』『ロボットのくにSOS』『おばけのコンサート』『ゆき ゆき ゆき』などがある。