
この本では、「恐竜をさがせ!」という指令が、タイトルになっている。いっぽうで、僕には、「恐竜を描け!」という指令が出されていた。
じつは、絵を制作しているとき、ぼくの絵が使われるページが、いったいどんなページになるのか、なかなか予測がつかないような状況だった。いま描いている絵が、どんなふうに加工され、どんな意味合いの絵になるのか、若干見当がつかなかったのである。そんな仕事はめずらしいのだけど、編集サイドはじつに楽しそうに、電話やメールで「指令」を送ってくる。
「恐竜をさがせ!」には、絵を描く僕のほかにも、恐竜の模型をつくったり、CG(コンピュータ・グラフィックス)を駆使したり、写真を合成したりと、さまざまなクリエイターがかかわっている。でも、ほとんどのクリエイターは、僕とおなじように、頭のどこかに「?????」をうかべたまま手を動かしていたにちがいない。勝手にそうだと断定してしまおう。
そんな、つくる側にとっても、ナゾに満ちたこのシリーズ。完成した本を手にとって、はじめてその意図がわかった。おもしろい。遊びながら、読みすすめながら、「恐竜の基本」を知ることができるしかけが満載だ。「こんなふうに僕の絵を使ったんだ」という、新鮮なおどろきも味わえた。
このシリーズは、そんな楽しい内容ながら、「科学的に正確である」ことを、とてもたいせつにしている。恐竜の本はそもそも、そうでなくてはいけない。徳川さんの復元模型も、僕の復元画も、科学的な考証を土台に制作している。そのベースを、このシリーズでささえるのが、「平山ハカセ」の存在だ。平山先生には、今までも多くのアドバイスをいただいてきた。
しかし、いくら科学的とはいえ、恐竜の生きたすがたは、もはや観察することはできない。どうやって、恐竜の真実に近づくのか? その過程の一端も、このシリーズから知ることができる。どこまでいってもナゾがいっぱいだけど、わかってきていることもたくさんある。そんな「恐竜の世界」を、子どもも大人もいっしょに楽しんでもらえれば、僕はとてもうれしい。

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