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にいさん

にいさん
にいさん

作:伊勢英子

ゴッホとテオ、ともに芸術に生涯を捧げ、つよい絆でむすばれた兄と弟。二人の足跡をたどる旅を続けてきた著者が描く感動の絵本。

受賞歴
日本図書館協会選定図書
サイズ(判型)
29cm×24cm
ページ数
40ページ
発売日
2008年 03月
ISBN
978-4-03-963890-8
Cコード
C8797
NDC
726

定価: ¥1,620

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メッセージ・感想

著者より

★刊行時に寄せられたメッセージです

 未だ終わりのみえない旅の途上ですが、今日はようやく完成した絵本「にいさん Mon Frère」をお届けできる喜びをかみしめています。
 ゴッホがただひとりの弟へ宛てた700通近い書簡集を羅針盤に、オランダ、ベルギー、パリ、オーヴェール、アルル、サン・レミ──と、ゴッホの心の軌跡を追う旅は、迷い道と謎だらけの果てしない深い森に踏み入るような旅でした。
 森に隠されたモチーフの連鎖に導かれるたびに、必死に愚直にスケッチ帖の手を動かしつづけました。
 逆光に神々しく息づく立ち枯れのひまわりの群生、黄金と青の麦畑、ちぢれて飛ぶ雲の波、明滅するオリーブの木々、絡みあった木の根、星月夜の合唱が、共鳴しあい、あふれる色彩のシンフォニーとなって、私を立ち止まらせ、さらに森の深みへと向かわせました。
 そして、森の出口の光の先に私が見いだしたのは〈弟テオ〉というゴッホの愛の存在証明でした。ゴッホの森のモチーフはみな、兄弟の生地、オランダのいくつものなつかしい風景につながっていたのです。
 弟が聖なる遺物のように保管していた兄の手紙。そこで語られる風景やモチーフへの言及、さらにその行間には、悲運のときにふたりがきまって立ちかえる子ども時代の情景と自然への憧憬があふれています。麦畑やヒースの野、運河、その上を季節とともに移ろっていく北の空の光。豊かな自然のなかで、兄と弟は愛を育み、死がふたりを分けても芸術に生きることを選んだのです。弟に迷惑をかけまいと、明晰な頭脳のまま入所したサン・レミの精神病院の絶望の底で、画家のパレットを覆いつくしたのは、北の光と色でした。
 ゴッホの死は謎めいていて、どんな評伝も描ききれないでしょう。ですが、「どんなことがあろうとぼくはまた立ちあがろう。大きな落胆のなかですててしまった鉛筆をもう一度取り上げよう。またデッサンを始めよう」(書簡133)
 そして、兄の死後、テオが母に宛てた手紙の中のことば、「にいさんは、ぼくのすべて、ぼくだけのにいさんだったのです!」
 ここにすべての答えがあるように思われてなりません。
 この絵本は、私のゴッホとテオへのオマージュです。(いせひでこ)

 

伊勢英子

伊勢英子

1949年に札幌市で生まれ、13歳まで北海道で育つ。東京藝術大学卒業。童話『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞、宮沢賢治作品『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、創作絵本『ルリユールおじさん』で講談社出版文化賞絵本賞など受賞多数。賢治作品『ざしき童子のはなし』『よだかの星』『風の又三郎』や、自ら作絵を手がけた『雲のてんらん会』『1000の風1000のチェロ』『絵描き』など多くの絵本作品があり、『カザルスの旅』『旅する絵描き パリからの手紙』などエッセイも多くの読者から支持されている。

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