安房直子の円熟期の最高傑作といわれる短編集。日常の隣に空いた非日常に迷いこんでしまった人びとの物語。その世界へ誘うのは、雪のウサギだったり、マントを着た猫だったり……。表題作ほか「初雪のふる日」「ひぐれのお客」など全9編。解説は小川糸。
1943年、東京に生まれる。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』(日本児童文学者協会新人賞)『北風のわすれたハンカチ』(産経児童出版文化賞推薦)『風と木の歌』(小学館文学賞)『遠い野ばらの村』(野間児童文芸賞)『山の童話 風のローラースケート』(新美南吉児童文学賞)『花豆の煮えるまで—小夜の物語』(赤い鳥文学賞特別賞)など受賞多数。1993年、永眠。
安房直子さんの作品を集中的に読むには「安房直子コレクション全7巻」がお薦め。代表的な作品集はこの『遠い野ばらの村』のほかに『白いおうむの森』『風と木の歌』